「ご挨拶」

 育友会会員の皆様には、平素より本校の教育活動にご理解とご支援をいただき誠にありがとうございます。 着任いたしまして一ヶ月ほどですが、明るく素直に授業や課外活動に取り組む生徒たちの様子から、田辺工業高校の校風や「ものづくりは人づくり」の精神が引き継がれているということがよく分かります。元気よく挨拶をしてくれる人、少し照れくさそうに挨拶を返してくれる人、これからますます多くの生徒の皆さん、そして保護者の皆さんと関らせていただけることを楽しみにしています。
 さて、インターネット・コンピュータの急速な普及による情報革命やグローバル化の波は、この10年ほどで私たちの生活に確かな変化をもたらしました。最近、ニュースでもよく取り上げられるAI(人工知能)の進化もまた目覚ましいものであり、第4の産業革命とも呼ばれています。これから10年、20年先には、AIやロボットが今ある仕事の半分を人に替わって行っているだろうといった予測も現実味を帯びてきました。また、グローバル化と少子高齢化による社会の変化は、私たちが認識するよりも急速に進んできています。高野山や白浜など県内の観光地や街中でも東・東南アジアやヨーロッパなどからの観光グループや家族連れを見かけることが年々多くなりました。昨年の訪日外国人の数は2,400万人を超え、和歌山県での外国人宿泊者数は前年より2割増しの50万人に達したそうです。人・モノ・金・情報が地球規模で移動するのが日常的となってきている私たちの暮らす社会そのものがグローバル社会となってきています。一方、少子高齢化が進む中、このままでは約20年先の和歌山県の人口は、さらに3割程度減少するといった推計がありますが、遠くない将来において、労働力を確保することや社会の活力を維持するのに多くの困難が生じてくると思われます。
 こうした変化が著しくて予測が立ちにくい時代・社会に向かって、生徒たちが明るい展望と夢を抱き、逞しく豊かに生きていける資質や能力を身につけていくことが、年々益々高校教育に求められています。これまでは「覚える」こと、知識を増やすことに重点が置かれていましたが、知識量だけでなく知識・情報・技能を活用して課題を解決する力が備わっているか、課題解決のための「考える力」が、採用選考や入学試験で問われることが多くなってきています。また、他者と協働して課題を解決するためのコミュニケーション力や論理的に説明する表現力が問われることも多く見受けられます。本校では、そうした資質・能力を育むため、「時・場・礼を大切にし、自ら学び、考え、行動できる産業人の育成」を教育方針に掲げ、「朝の学習」をスタートさせ基礎学力の定着に努めるとともに、技能検定、インターンシップ、企業研修、部活動、コンクール、ボランティア活動などを通して、地域、企業、研究機関、他校の生徒など様々な人と交流する体験を積み、田辺工業高校での3年間で何を学び、どんな活動を行ってきたのか、一人一人が自分の学習歴・活動歴をしっかりと語れるための教育活動に力を入れていきます。ご家庭におかれましても、社会の変化を話題にして、お子様の卒業後の社会人としての姿を描き、何を学び身につけていくことが大切なのかを話し合っていただければと思います。今年度も「チーム田辺工業」の一員として、会員の皆様には尚一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶と致します。
平成29年5月
和歌山県立田辺工業高等学校 校長 三角 雅彦